経年でピアノに起こり得る変化や現象例をご紹介します。
外装の変化
過温/過湿/急激な室温変化による、ひび割れ/反り→音に影響無し
直射日光/照明の光による色の変化→音に影響無し
ペダル/蝶番の錆
真鍮が使われており、出荷時には防錆コーティングをして出荷されております。
経年変化で酸化し、徐々に黒っぽく変色して錆びます。
腐食していなければ、磨き直して錆を落とす事が出来ます。
調律の変化
演奏する以外に、室温・湿度の変化でも少しずつ音律が乱れます。
冷房や暖房の使用を始める時は特に変化しやすい為、注意が必要です。
演奏頻度に関係無く、最低年一度実施する事で安定した状態を保ちやすくします。
<対策>ピアノの管理
断弦
ピアノ線は炭素鋼が使われており、主に金属疲労で断弦する事が多いです。
使用頻度や打鍵の強さや弦の張り方、ピアノの性格など様々な要素が重なって断弦に至ります。
保管状況にも関係します。
現在の金属工学では断弦を無くす事は不可能で、バイオリンやギターの弦と同じく消耗品です。
張替ることで、機能も元通りになります。
鍵盤の戻りが悪い
湿気や温度急変による水蒸気発生などの影響で、内部のクロスが湿気を吸って膨張する事で部品が動き難くなります。
調整や部品交換で直ります。
他にも、鍵盤の隙間に落し物(ヘアピン/消しゴム/鉛筆、硬貨など)をした場合にも部品の動きを邪魔します。
落し物を取り除けば直ります。お客様ではピアノ内部は触らない様、技術者にご連絡下さい。
<修理内容>鍵盤調整
響鳴(雑音)が出る
ピアノから発する音と同じ周波数、又はごく近い固有周波数の部品があると音が鳴るたびに振動します。
その部品が他の部品に接触していたり、ピアノ周辺に共鳴しやすい物が有るとピアノの音と一緒に振動する事で
“ビリビリ”とか“カタカタ”、”ビービー”と鳴って雑音になります。
調律した事でピアノがよく響く様になると、症状が出ることもあります。
ピアノの故障では有りませんが、雑音が気になる場合は原因を特定出来れば対処出来ます。
【よくある原因】メトロノーム、写真立て、額、時計、照明、ピアノ後部の落し物、ガラス(陶器)製品、金属(缶)製品
ペダルの不調
利かなくなった→ペダル部品破損の可能性。
踏む度に雑音が出る→ペダル部品摩耗の可能性。
部品交換すれば直ります。
消音ユニットの不調
使用できない→アダプターやヘッドホンのコード断線、ユニット部品の故障
使用中にピアノから音が出てしまう→ユニット部品の調整変化
音が出ないところがある→鍵盤センサーに埃や物が付着している、ユニット部品の故障
音色の変化
硬い(キンキンする)・柔かい(こもっている、モコモコする)・変化が付き難い
長年使用すると、弦を叩くハンマー先端が押し固められて硬くなり、音色の変化が付き難くなります。
ハンマー部の修理や調整で直ります。
<修理内容>ファイリング、整音、ハンマー交換(オーバーホール)
タッチの変化
重い・弾き難い・鍵盤戻らない
室温、湿度の変化、調整の乱れにより微妙に日々変化をします。
調整をする事で整えることが出来ます。
<修理内容>整調、フレンジコード張替、キーピン磨き、センターピン交換、スプリング調整
液体物をこぼした時は・・・
食べ物、飲み物、嘔吐物、ペット糞尿をピアノにこぼしてしまった場合は、
速やかに拭き取れるだけ拭き取り、技術者へ連絡して清掃してもらいましょう。
状態により、部品交換も必要になります。
時間が経過すると、部品を傷めて動き難くなったり、錆の発生の原因にもなります。